自分のフォロワーがまったく出てこないことが淋しいという靖幸。
五年間を語っていきます。
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この五年は僕にとって人生のなかで特殊な時期だったのかな・・・。
特殊・・・、どうなんだろう・・・。でも、活動休止だったわけじゃないんですよ。
レコーディングやってたし。活動は休止してないですよね。ただ、自分自身へのジャッジがすごく厳しくなったんでしょうね。前に比べて、こんなもんでいいんじゃないってところで出してもよかったんだろうけど、やっぱり、悔しい思いしなかった、ライバルがいなかったってそこがよくないんですよ。全部自分に向かうんですよ、何から何まで。
比べる指針もないし。自分から始まって自分で終わって・・・。批判するのも自分だし、楽しむのも自分だし、何も響かないっていうか・・・。厳しくなるのも当然だと思う。自分が常に先生で、ジャッジが厳しくなるから、何年やってもその人の影響も受けつつってことだったらまた違うふうになってただろうしね。
それで、今回「妻になってよ」や「パラシュート☆ガール」ってシングルとして出したものがアルバムに入ってるってのは、ただ単純にシングルは全部入れようって思ったのと、あと詞の意味ではやっぱりこれ以上のものができなかったってことかな、詞が足りないっていう・・・。
レコーディングにずっと入ってて、詞で煮詰まりまくって。とりあえず曲だけいっぱい書いてみようとしたら六十~七十曲できちゃったんです。そこで作曲は作詞が自分の納得いくまで、やめておこうっていうのはなくてね。もうとまらないんですよね、曲が。
それで、気分転換に去年の頭、(吉川)晃司と石垣島に行ったんだけどね。
でも、途中で帰ってきちゃったんです。旅行として楽しめなかったんですかね。石垣島旅行はアウトドアでテント張ってのものだったんです。で、アウトドアってのは僕にはよくわからないんだけど、そこでなにするんだって言うと、どうもなにもしないのがいいらしい。さらにそこでなにを考えるかっていったら、いや、なにも考えない、なにをしようかっていったら、いや、なにもしないってのが楽しいわけなんだよね、アウトドアって。それが毎日毎日そいういうところだから。僕としては羽をのばすって感覚じゃないよね。僕は仕事がいちばん楽しいし、仕事っていうか音楽を作ってるときがいちばん楽しいし、いちばんイキイキとしてるし、いちばん自分らしいから。このこと以外で羽を伸ばそうって感覚はないし、気持ちがないから。
でも、音楽を作るってことと発表するってことは全く別ものなんだよね、僕のなかでは。だから、誰かから「そろそろ発表しろ」っていう言われ方をしなければ発表なんかしたくなくてね。ちゃんとできあがらなければ、発表したくない。
だから、休もうって思ったことないんです。「よく、それで保つね」とか「その集中力と持続力はすごいね」とかって言われるんだけど、俺はそうは思わないんだよね。
だって、例えば恋人がいて、その相手に電話する時間とか手紙したためる時間とか会ってる時間とか、負担だなって感じないでしょ。それと同じ。同じだと思いますよ。自然なものなんじゃないかな。それとも、みんなは自然じゃないってことなのかな。
確かに、音楽好きで、音楽じゃなくてもいいんだけど、あるものが好きで、ミュージシャンになったりってそういう職業についた人でも、その繰り返しのなかで飽きてしまってことがあるらしいけど、そのために休んだりリフレッシュしたりってのは僕の場合まったくないよね。
だから、この五年間で昔のように音楽を作ってライヴをやったり取材をするときの自分に嫌気がさしたってことは・・・、ないです。ないけれど、日々生活のなかでオレってダメだよなってのは常にありますよね。でも、それって仕事のなかでの大きなポイントってよりは、もっとちまちましたところではありますよね。
CDはよく買いましたけど、五年前ほどではないですよね。どういうのを買おうかなって情報は店頭の棚積みからかな。あと音楽雑誌。雑誌は俺の記事は載ってる可能性がなさそうだなって以外のは全部読んでた。それを読む、見るってのは間接的なコミュニケーションだから読みましたね。でも、それが実際の制作現場に響くってことは特になくて・・・。だから、自分のことを書かれてるチェックって感じだった。意に反する記事ってほとんどなくて、面白いなと思いつつやっぱり切実なるものが多かったかな。
全部僕が曲書いて詞書いて演奏してるからって、自力でやってるって快感はない。自力じゃなくていいと思うもん。自力だから意味があるんじゃなくて、結局いいのはいちばんいい音楽ができあがることで、自力でやるとかやらないとかの些細なことじゃない。
ただ、今までやってくるうちに他の人に頼まなくなったのは、その人を通して出てきた音が自分のイメージと違ったってことがあって。それに、僕よりうまくて、僕より速く弾ける人はいると思うけど、その人呼んで傷つけたり、自分が全部頭にあるとおりにやることによって、その人の色をまったく消してしまうってのはあまりにも不憫だし、失礼だから自分でやろうって思ってね。だから、自力でやろうとするのがすべてではないと思うんだけど、この五年間、誰かに委ねてもいいって思った瞬間はなかったですね。
だから、この『禁じられた生きがい』を出していいってジャッジした最大の原因ってのは・・・、うーん、「チャームポイント」が書けたことかな。
あと、僕を取り巻く環境として事務所が変わったけど、そういうのは自分に響いたのかな・・・。響いてるのかもしれないけど、まったく自分の関係ないところで起こってるから、どうとらえようもないっていうかね。もっと自分で環境作りすればいいのかもしれないけど、意識してないというか、あんまりそういう才能がないっていうか・・・。
そういうことを考える余裕ができたらいいんだろうけどね。
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最初に言ったように、あいかわらず「・・・。」が多いですよね。
とりあえず曲だけ書こうとして、60~70曲できてしまうのか!(驚)
自力じゃなくていいと思う、自力だから意味があるんじゃなくて、結局いいのはいちばんいい音楽ができあがること
すごいなぁ・・・
靖幸の本質を見失わない姿勢にあらためて感慨にふけりました。
チャームポイントは、好きな曲なので嬉しかったです。
「今は気付けない 君の見所 だからチャームポイント全部調査したい」
広い意味で、こういう態度で人に接しているかしら・・・(反省)